ガーミンInstinct(インスティンクト)と走るようになって3ヶ月。
最新のGPSアウトドアウォッチの使い心地、機能、位置情報と光学式心拍センサーの精度など、ランナー目線でとことんレビューします。
ガーミンInstinctを徹底レビュー!
開封!ミリタリー感が魅力のデザイン
注目を集めるガーミンのInstinct。
新色も登場しましたが、私は定番の黒を購入。
箱を開けると、ガーミンのステッカーが入っていました。
Instinctはミリタリーを感じさせる男心をくすぶるデザインで、ForeAthleteの平べったいベゼルに少々飽きていたので新鮮です。
裏返して置いても液晶に傷がつかないのも好印象。
充電は差し込み式です。
ベルトは柔らかく少し薄い印象ですが、思いきり引っ張ってみても、もちろん切れる気配は全くありませんでした。
時計のサイズは大きすぎず、小さすぎず、丁度良いサイズ。
「スントでは大きすぎるなぁ」という細身の人も満足のサイズ感だと思います。
白黒ではっきりしたウォッチフェイス
Instinctはハッキリしたモノクロ画面を採用しているので、小さい文字まではっきり見えます。
バックライトも明るく、夜のランでも問題なし。
また、ウォッチフェイスは4種類の画面から選択でき、かつ一つ一つの項目も変更可能です。
Instinctをランニングで使った感想&レビュー
それでは、実際に走ってみた感想と気になった機能についてレビューしていきます。
抜群のGPS衛星の捕捉速度
Instinctの衛星の捕捉速度はお世辞抜きでかなり速いです。
初めての場所でも5秒前後、2度目以降は自宅の中でも一瞬で捉えます。
衛星を受信できずウロウロしていた5~6年前が懐かしく思えるくらい、ガーミンGPSウォッチの捕捉速度は進化しています。
トレーニングページは3分割+丸窓
ランニング中のトレーニングページは、ガーミンお馴染みの3分割画面+右上の丸の4項目。
一部隠れるアクティビティデータ
アクティビティのデータページもガーミンユーザーならお馴染みのページですが、
Instinctの場合は右上の丸窓で隠れてしまうので、ページによっては一度に見られるデータ量が少なくなっています。
元々画面は大きくないので、データはスマートフォンやパソコンと同期して、そちらで見る方が良さそうです。
<測位精度>Instinct vs スント
Instinctは、複数の衛星測位システム(GPS、みちびき、GLONASS、GALILEO)に対応し、測位精度が高いとされていますが、
その精度を検証するため、同じくGLONASSに対応しているスントのSPARTAN SPORT HR(スパルタンスポーツハートレート)と比較してみました。
結果がこちら。
ランニング中のペース・距離は2つともほぼ同じ値を示していましたが、地図を比較すると履歴はInstinctの方が圧倒的にキレイでした。
スントもGLONASS対応モードだけあってかなり正確な位置情報が取れているのですが、
ガーミンは位置情報をある程度補正して表示しているのに対し、スントは無補正で表示しているようです。
スパルタンスポーツHRはとても質の良いアウトドアウォッチなのですが、スントはアプリの開発には全く力を入れていないので、その点は本当に残念です。
<心拍計精度>Instinct vs スント vs ハートレートHR35
また、Instinctの心拍計の精度についてですが、
一般的に手首で測る「光学式心拍計」は、胸で測る「ハートレート型心拍計」より精度が落ちると言われるので、
Amazonで評価が高かったハートレート型心拍計(iGPSPORTS HR35)とInstinct、スントのスパルタンHRの心拍数を比較してみました。
なお、iGPSPORTS HR35はスマートフォンとペアリング、ストラバと同期させて計測しています。
結果は
- ガーミンInstinct・・・平均心拍数 137bpm/最大心拍数 168bpm
- ハートレートセンサーHR35・・・平均心拍数 136bpm/最大心拍数 162bpm
- スントspartan sport HR・・・平均心拍数 142bpm/最大心拍数 172bpm
InstinctとハートレートセンサーHR35の心拍数は、最大値こそ6bpm違いますが、平均値の差は1bpmとほぼ同じでした。
グラフを見ても、InstinctとHR35は常に似た変化を示しており、Instinctの光学式心拍計の精度の良さが伺えます。
反面、スントのスパルタンスポーツHRは、ラン開始10分後まで値が安定せず、高い値が続いています。
やはりガーミンの進化は圧倒的と言えるでしょう。
3軸電子コンパス・気圧高度計
3軸電子コンパス・気圧高度計というと、トレイルランニングや登山、アウトドアスポーツ用というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、
この2つのセンサーのおかげで、Instinctにはナビゲーションや自動クライムといった機能が備わっています。
ナビゲーション
Instinctのナビゲーション機能には、
- 【スタート地点】ランニング開始地点に戻るナビゲーション
- 【コース】設定したアコースをたどるナビゲーション
- 【アクティビティ】ランニングの軌跡をスタート位置からたどるナビゲーション
- 【ポイント】保存済みの目的地(山頂)へのナビゲーション
- 【サイトナビ】設定した方向へのナビゲーション
- 【座標】座標を目的地としたナビゲーション
があります。
中でもよく使うのは、アクティビティ終了後に表示される【スタート地点】の中の「トラックバック」。
トラックバックは、スタート地点に同じルートで戻れるようにナビゲーションしてくれる機能で、進むべき方向、所要時間、目的距離、到着時刻などを教えてくれます。
「帰るべき道はシンプルな点線…」「自分の位置・進んでいる方向は矢印▶」で表示されているだけの簡素な図なので、初めはおおいに不安でしたが、
道から外れると「オフコース」、道に戻ると「オンコース」と通知してくれるので、出張先のランニングも迷子になることなく楽しめました。
自動クライム
自動クライム機能は、登坂を移動している時に自動で平坦な道とは異なるページを表示してくれる機能です。
アクティビティが「ラン」の時にも設定することができ、坂道のモチベーションアップに一役買ってくれます。
登坂の基準は、昇降速度(初期設定:1時間あたり高度差600m)ですが、この値はアクティビティごとに変更可能です。
人気のトレーニングメニュー
Instinctには「一定のペースで走る感覚を身につけたい」「心肺機能を高めたい」など、ランナーそれぞれの課題に合わせた各種トレーニングもあります。
バーチャルパートナー
バーチャルパートナーは、設定したペースで走る仮想のパートナーとともにトレーニングできる人気の機能です。
ペースから遅れても速まってもアラートが鳴り、パートナーとどれくらい差があるか秒数で示してくれるので、一定のペースで走る練習をしたい方、マラソンに初挑戦する方におすすめです。
私も30㎞過ぎの失速が課題なので、ランニングのトレーニングページにバーチャルパートナーを追加しています。
インターバルトレーニング
インターバルトレーニングは、トレーニングと休息を繰り返すトレーニングメニューで、心肺機能の向上が期待できます。
各トレーニングのゴールは距離や時間で設定でき、休息の長さも変更できます。
ただし、負荷が強いトレーニングなので、タイムを縮めたい中級程度の方におすすめです。
熱、衝撃、水に強いタフネス構造
アメリカ国防総省お墨付きという「熱」「衝撃」「水」への強さは、Instinctの大きな特徴の一つです。
また、ランニングウォッチの中には低温に弱いものありますが(精度が落ちる、バッテリーの消費が急加速するなど)、Instinctの動作温度範囲は-20~60℃。
しばらく雪に埋めてみましたが(!)、全く問題なく作動していました。
豊富なアクティビティ
Instinctにはゴルフこそないものの、多くのアクティビティが揃っています。
せっかくなので試しにスキーで使ってみると、思いがけずいつもより何倍もスキーを楽しむことができました。
スキー/スノーボード
スキーでは、滑走距離、滑走時間、最高速度、平均速度、積算標高差などが表示されます。
もちろんマップやスピード、心拍数も記録されます。
滑走と停止(リフト搭乗)が自動検知されるので、リフトから降りて滑りはじめるたびに、新しい記録がスタート。
アクティビティ終了まで、4本滑ると4本分のラップのような記録が残りました。
これまでスキーのスピードを測ったことがなかったので、新鮮でとても面白かったです。
家族や友人たちもすっかり熱中し、最後はみんなの最高速度を酒の肴に大いに盛り上がりました。
優秀なGARMINのライフログ
Instinctを含むガーミンウォッチは、アクティブトラッカーとしても非常に優秀です。
毎日の歩数や心拍数を単純に記録するだけでなく、睡眠の深さや移動距離、上昇/下降階数、休息の時間など、多くのデータを分かりやすく表示してくれます。
寝始めの眠りが一番深く、その後は浅い眠りとレム睡眠を繰り返しているのがよく分かります。
自宅で2階に上がってみると上昇階数が1増え、1階に下がると下降階数が1増えました。
睡眠中と活動中の心拍数の違いが面白いほどよく分かります。緑の人マークは、アクティビティ(ウォーキング)の記録です。
この休息の結果は意外でした。思ったよりも体は休めているようです。
Instinctまとめ
ここまで、Instinctの様々な特徴を紹介してきましたが、GPSランニングウォッチとしてのInstinctの強みはどこかと聞かれたら、
- 測位精度の良さ
- 心拍計の精度の良さ
- ミリタリー仕様の頑丈な構造
- 電子コンパス・気圧高度計搭載モデルでありながら低価格
の4点を挙げます。
測位、心拍計、頑丈なタフネス構造については前述の通りですが、
Instinctの価格が破格であることは、既存の電子コンパス・気圧高度計搭載モデルの価格が5万円~10数万円であることから明らかです。
3軸電子コンパスと気圧高度計が未搭載モデルは、トラックバックのようなナビゲート機能はありませんし、
標高差のあるレースでは正確な距離計測に限界があります。また、多くのアクティビティに対応することもできません。
その点、Instinctは様々な場面でランナーの期待に応えてくれる優秀なランニングウォッチです。
久しぶりに、これは良い!と思えるウォッチに出会いました。